朱音

オキュラス 怨霊鏡の朱音のネタバレレビュー・内容・結末

オキュラス 怨霊鏡(2013年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

圧倒的な呪い、というか幻視の力をもった鏡との因縁の対決。正直、姉弟に勝ち目があるのか?と終始疑問だったが思った以上にワンサイドゲームでガッカリした。
ケイリーの復讐計画は一体どういうプランニングだったんだ?
11年間精神療養施設に収監されていた弟のティムを、PTSDを克服した出所直後に協力させようとするのは狂っているし、協力して欲しいと仄めかすばかりで計画の全容を伝えない見切り発車に唖然とし、
結果ぶっつけ本番での弟の説得から始まり、連携すら殆ど取れずに互いが単独行動を取っては鏡にいいように弄ばれ自爆する〜の繰り返しはさすがに興ざめしてしまう。
こういったホラー映画において、キャラクター達に行動の完璧さや、明晰さを求めるのはナンセンスなのは分かっている。分かってはいるがここまで行き過ぎていると何を見せられているのかという気にもなってくる。

錨を使った決着になるのは読めていたし。そう来るかという発想力で勝利。とまではいかないまでもせめて一矢報いるくらいの快感要素は欲しかった。陰鬱なバックボーンがあるのなら尚更に。


とはいえ本作の見所はなんといっても過去と現在をオーバーラップさせ、最終的には幻視と相俟って当人達はもとより視聴者側も巻き込んで完全に混同させてしまう演出だろう。
まず、一軒の家で時を隔てて起こった事を同時並行で描くという作劇自体がミステリアスで飽きさせない。このアイデアが映画的で素晴らしかった。
幻視を先に見せ、デバイスを通して後から実際に起きた事を見せるというのも、いま見ているものが信じられない。つまり一寸先に何が起こるのか読めないハラハラ感を生んでいた。また、絆創膏と爪、リンゴと電球などのシークエンス単位でのアイデアの引き出しも良かった。

そしてなによりそれらの演出を違和感なく映像化してみせたこと。画角や陰影の使い方、撮影の仕方も実に見事だ。

もう本当に、キャラクターの確立とラストのどんでん返し。これらが揃っていればこの映画は大好きな作品になっていたかもしれない。
朱音

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