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四畳半襖の裏張りのSIのレビュー・感想・評価

四畳半襖の裏張り(1973年製作の映画)
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2021.11.3
れんが屋にて鑑賞

「ああ ××ます ××ます」

大正時代。米騒動の騒乱の中、初会の客に何度も逝かされてしまった芸者の主人公は、男が遊び人であることを知りつつも結婚し、他の芸者の悲喜こもごもに触れつつも、仲睦まじく暮らす。

初、日活ロマンポルノ。
神代辰巳×宮下順子。

永井荷風「四畳半 襖の下張り」原作。
当時、猥褻と芸術の境界をめぐってこの小説が出版差し止めとなっていたところ、映画化。企画からして狂っている。

話は群像劇。取り留めもなく。風俗での女と男の攻防。本気か演技か、騙し騙されバカしあい。
女のイク快感を知りたいと、極道のお兄さんに茶屋で首吊りをさせられる漫談師のシーンが素晴らしい。神代監督のむき出しの狂気。
四つん這いでお尻をプリプリさせる下卑た芸者の、なんともいえないエロさ。3こすりで発射。これまた逝き顔が必死で良い。
ラストも、部屋の虫を殺す売れない芸者の、踏ん張り顔で終わる。あまりに唐突。

話の構成は崩壊しているのだが、だからこそ監督がのびのびやっていることがわかる。プロデューサーなんて、いらないのだなあ。

黒塗りを意図的に入れることで、検閲対象であることを匂わせ、欲情させるテクニック。

宮下順子は、艶やかで、綺麗だった。。

こういった自由な作品群が、監督を育てる。
記憶に残るカットが多い、良い映画でした。ロマンポルノ、もう少し観ます。
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