一方通行の恋路と強姦被害のダブルパンチにより、人間の性行動を嫌悪するようになった女子高生（太田あや子）が、周囲の性愛模様に引き入れられてしまう。ひさうちみきおの不条理ギャグマンガ「罪と罰」を映像化している、日活ロマンポルノ。
演者がオチャラケ演技を披露する、ナンセンス・コメディの典型。「汚らわしい性の営みから逃避しようとする」→「逃避先で誰かが性の営みを演じている」の連鎖をスケッチしており、それらの下半身劇場を「滑稽」の対象にしている。
倦怠期に陥っている教諭（北見敏之）のキャラ作りが絶品であり、強姦魔スタイルで妻（宮下順子）を犯すときの「ヴィアアーッ！イイーッ！」が抱腹絶倒。インチキ催眠術師（丹古母鬼馬二）の場面では、スクリプター・白鳥あかねを確認することもできる。
根底にあるテーマは、ロマンポルノの定石に則したもの。人間のもつ「聖性と邪性」のうち、人との繋がりの中で必須とするのは後者だということ。邪性から湧き出る活力を糧にすることを説いている。
