GreenT

ディクテーター 身元不明でニューヨークのGreenTのレビュー・感想・評価

3.0
こういうの好き!

一番笑ったのは、独裁者を演じるサシャ・バロン・コーエンが、グロテスクにド派手なベッドで

「おお〜、ミーガン!ミーガン!ミーガン!」

って言いながらセックスしているんだけど、相手が本当にミーガン・フォックスで、セックスが終わるとさっさと服を着て高価なプレゼントを確認し、次はイタリアの大富豪のところに行かないとならないから急いでる、って独裁者とポラロイド写真を撮る。

独裁者のアラジーン将軍は、この写真を壁に貼るんだけど、隣の写真が何気にリンジー・ローハン!(爆)

「ありえる!」とかって笑っていると、その隣の写真はオプラ!

「オプラ?!」って一回落としておいて、その隣がエレン・デジェネレス!(爆)

「エレン、レズだよ!」と笑っていると、その隣の写真はアーノルド・シュワルツネッガー(爆)!!

しかも、エレンがすごい楽しそうにしている写真に対して、シュワちゃんは目を伏せがちにしているところが爆笑!!

も〜これってセクシー女優、黒人女性、レズビアン、そしてマッチョマンと全ての人を怒らせている!こういうギャグ好きなんです、私!

あと、アンナ・ファリス演じる、ポリティカリー・コレクトな女の子が、自分の経営しているオーガニックのスーパーで、海外から亡命してきた人たちを雇っているんだけど、おんなじノリで助けて上げたアラジーン将軍は独裁者で、女性蔑視が激しいという、リベラルな人たちがする「良い事」には色々矛盾があるってことを笑っているところが良い。

アラジーン将軍は自分の国ワディヤ共和国で好き放題やっていて、叔父のタミール(ベン・キングスレー)がアラジーンを暗殺し、国を民主主義にしようとしているんだけど、タミールはアメリカの石油会社と癒着していて、また中国とも密かに取引して、自分だけ儲けようとしている。

この、「民主主義って本当に独裁主義より良いものなの?」ってツッコミは、真実であるがゆえに笑える。

あ、あと、アラジーンがアメリカに来た時、独裁者だからってデモが起こっているのに、その中をラクダに乗って、「アマゾネス警備隊」をはべらせて、青いランボルギーニ?を何十台も追従させてパレードをするんだけど、その時

「ああ〜、黒人が作り上げ、中国が所有する国、アメリカ!」って言ったときにはひっくり返って笑った。

オサマ・ビン・ラディンがアメリカに殺された事になっているけど、実は殺されたのはボディ・ダブルで、本物はあれ以来アラジーン将軍のゲストハウスに住んでいて、

「オサマが使ったあと、トイレに入ってみろ!あれが本当のテロリズムだ!」

ってのもめちゃウケてしまった。

サシャ・バロン・コーエンの映画って今まで真剣に観たことなかったんだけど、今回観てみると、神経逆なでするようなところがアダム・サンドラーぽい。だけど、アダム・サンドラーのジョークがただ面白きゃなんでもいいやってのに対して、サシャ・バロン・コーエンは明らかに「みんなに不快感を与えよう」としているところがすごい(笑)。

だけどこの不快感が、民主主義やリベラリズムに対する矛盾や葛藤を良く突いているし、だから逆に爆笑できてしまうところが良い!

ただ映画的にはテンポも悪いし、もう一回観たいとは思わない。これのもっと優れたヤツが『チーム・アメリカ ワールド・ポリス』なんだよなあ。
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