櫻イミト

殺人カメラの櫻イミトのレビュー・感想・評価

殺人カメラ(1952年製作の映画)
3.0
ロッセリーニ監督が同年の「アモーレ」と「ドイツ零年」の間に撮ったリアリズモ・ファンタジー。

イタリア南部、アコルフィー海岸の小さな漁村で聖アンドレアのお祭りが開かれていた。その夜、写真屋のチェレスチーノの店に貧しそうな老人が一夜の宿を求めて訪ねてきた。老人は聖アンドレアと名乗り、写真に写った悪人をもう一度カメラで撮影すると殺すことができる能力を授けるというのだ。。。

ロッセリーニ監督が映画の表現方法を模索していた時期の作品で、本作では初めてのコメディの演出を試みたとのこと。基本はリアリズモなので、祭りで賑わう町の様子やロケーションの切り取り方は素晴らしく、素人の出演者たちも味わい深い雰囲気を醸し出している。ただし模索中ゆえか、エンターテイメントとしては話と映像の運びが流暢ではなかった。それも含めて、何とも言えないレトロ感の漂う個性的な田舎ファンタジーだった。
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