菩薩

あなたはまだ何も見ていないの菩薩のレビュー・感想・評価

3.0
随分と遺作っぽいじゃない!とか、随分とメタメタじゃない!とか、書こうと思っていた事はほぼ解説で言われてしまったのでもはや何も書けない。とは言えこれはただの当てずっぽうだが、あの劇団の名前「コロンブ座」の元ネタがコロンブスなのだとしたら、それはもちろん「新発見」を意味しているのだろうし、このタイトルに対して更なる意味を与えるものになると思う。ご存知オルフェウスとエウリュディケーの物語も凡ゆるメロドラマの基礎になるものだろうし、今もそれを下敷きに俳優は追う/追われる、追いつく/追いつけないの物語を演じ続けているのだろう。生者と亡霊の華麗なる共演→同化、そして亡霊の復活、我々はまだ「映画」の先を見ていないし、再び蘇る「映画」を見続けなければいけない。映画の中に存在する階層を自由自在に行き来してみせる老獪さはアラン・レネらしさなのだろうし、同じ様なと言うほどでは無いが、少しだけアンジェイ・ワイダの『菖蒲』を重ね合わせながらの鑑賞となった。「演技」と「映画」と「人生」の総括にしては、いささかお洒落過ぎる。
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