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日の果てのmhのレビュー・感想・評価

日の果て(1954年製作の映画)
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日本軍の内部腐敗についてのヒューマンドラマ。
系統的には「聞け、わだつみの声」とかあのあたり。
西村晃があいかわらず嫌なやつをやらされててなんかかわいそう。
脱走兵を連れてこい。無理なら射殺しろと無茶振りされるのは、まだシュッとしたころの鶴田浩二。
作中、「東海岸に出れば助かる」という噂が流れて、それが合言葉のようになるんだけど、鶴田浩二だけ「しがし海岸」といって懐かしい。
軍隊の理不尽を糾弾するのかと思いきや、後半は、友だち(脱走兵)を射殺するのかどうかというサスペンスにとって変わる。
かたくなに命令を守ろうとする真面目な兵士があぶないやつになってしまって、クライマックスはサイコホラーみたいな一面も。
順番に死んでって最終的に誰も生き残らないという演劇っぽい展開。リアリティはないし、面白いわけでもないので効果的じゃないような気がした。おさまりがいいとテーマがぼやけてしまうことは覚えておきたい。
原作の舞台はフィリピン・ミンドロ島みたいだけど、旭兵団(からの逃亡兵が出てくる)という単語が登場するため、ルソン島に変更したのかも?
小野田さんが生き残っていたのはルバング島だし、「野火」はレイテ島。このあたりは歴史の密度が濃いね。
フィリピンの現地人から、しゃれにならないほど日本軍人は嫌われてるはずなんだけど、そのあたりの描写はなかった。
そっか、まだ終戦前か。
フィリピンにいた日本人はこれから想像を絶する飢餓に襲われることになるだけど、それはまだ先の話だ。
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