ケンタロー

ザ・マシーンのケンタローのレビュー・感想・評価

ザ・マシーン(2014年製作の映画)
3.0
しっかりした世界観のある良質なSF。低予算なれど、工夫した画づくりや俳優陣の好演で惹きつけられます。

Road to Blade Runner 2049 ということで、とっとと観ちゃえよって感じなんですが、好物は後にとっておく派なんでね、先にこちらを観賞しました。

パッケージから見るにマシーンと呼ばれる女ターミネーターが破壊の限りを尽くすのかと思いきや、ドラマ重視のしっかりとしたつくりの作品でした!

これねー、タイトルが正直イマイチなのと(自らB級感を煽ってるという…笑)、パッケージデザインがね既視感ありありで、この2点だけでもかなり損してると思うなぁ…

キャッチコピーのブレードランナーにもっとも近づいたってのは、まぁ、ナイんだけど(笑)、全体的な雰囲気というか、色味は似ているかな。

屋内に射し込む夕陽かな?部屋がオレンジ色に染まる感じとか、舞台がイギリスだからか、僅かな屋外シーンは天候悪いし…。音楽もシンセ使って、らしさは感じられるかな。

でも、本作で見るべきところは、そこじゃない!

博士役のトビー・スティーブンスがなかなか渋いし、マシーン役のケイティ・ロッツは、機械としての演技が完成されていてとても良かった♪

本作、所々、( ゚д゚)ハッ!とさせられるシーンやビジュアル、設定があって、中でもマシーンが様々なスキルや知識を得て自由を感じる喜びのダンスシーンは表現方法として素晴らしく美しかった…。 

このシーンにおいては、人工生命体やロボットものの古典でもある、ピノキオを思い起こした。
純粋であるが故に悪者に騙されて働かされるっていう部分も近いね…。

他にも暗闇で光点のように光るガイノイドの眼や、ガイノイド同士の言語など、面白い見せ方や設定もたくさんあります。

惜しむらくは、終盤のマシーンの戦闘訓練の始まりや、博士の苦悩や悲しみが巻き目で進行していくところ。
予算都合もあるし、全体的な尺の問題もあっただろうで、ちょっとバランスが悪いストーリー構成になってるところですな。

ちなみに、この作品では中国と西欧諸国が冷戦下にあり、中国の台湾侵攻が物語のベースになってて、世界構造の変化ってのも感じる、ある意味リアルな世界でもありました。