ハミングバード

ターニング・タイド 希望の海のハミングバードのレビュー・感想・評価

3.6
 “ヴァンデ・グローブ”というヨットレースの存在を知らなかったが、ヨットでの壮絶な世界一人旅であることは間違いない。日頃ヨットには無縁ではあるが、漂流ものが元来好きな私は船底に広がる深い神秘的な海には何故かワクワク感と恐怖感を同時に感じる。そんな単独レース参加、そして優勝するという選手にとっては限りなくその人生を掛けたものだと想像がつく。この作品はそのレースの映像に、故障により沿岸に船を停泊させた時に乗り込んだ一人のモーリタニア人少年という存在のみが描かれる。フランスは移民大国であり、あのジダンの頭突き事件で日本人も知ることになった移民差別問題が背景にある。特にフランス人は、アラブ・マグレブへの差別意識は強いらしい。少年が同乗しながらも優勝するこの選手のとった行動と迎える観客の反応から、フランス自体の移民差別に対する負い目の様なものを感じた。
ハミングバード

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