好き嫌いされるタイプの映画かもしれないけど、僕はとてもこの映画が好きです。ジェイソン・ステイサムがただのアクション俳優じゃないことをわからせてくれる一作でもあると思います。
戦争によって心の傷を負った元軍人のスミスが、過去のトラウマや戦友に囚われながらも、現代の暮らしを期間限定で営むというのが今作の大まかなあらすじ。
その人の「栄光と没落」をテーマにした作品はいくつか観てきたけれど、そういう種類の作品を観るのにいつもびくびくするのは「いつ、没落が始まるのか」という点にある。
今作でも、主人公のステイサムはいつかこの生活が終わってしまうことをわかっていながら余生を過ごすことになる。それは誰に命令されたわけでもない自分で選んだ道なのにも関わらず、その「期限」が訪れるであろうことに、 観る側の人間、少なくとも僕は怯えてしまう。
でもステイサムはそんなことに怯えはしない、ということをエンドロールの時間が来た頃に知ることになる。彼はとっくの昔に、その覚悟ができていたんだということを知らされる。
とても悲しくて、切ない話のひとつだと思う。
話のスケールの大小こそあれど、僕らはそういう人生を選択しなければならないときがいつか来るであろうことを教えられる一作だと思う。
素敵な映画だった。