ノラネコの呑んで観るシネマ

あいときぼうのまちのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

あいときぼうのまち(2013年製作の映画)
4.0
1945年、1966年、そして震災を挟んだ2011年と12年。
福島県浜通りに暮らすある一家の物語を、それぞれの世代の15歳を主人公に描く。
戦争末期には原爆開発のためにウラン鉱脈を掘り、60年代には原発設置を巡り街が引き裂かれる。
そして2011年、3.11の原発事故と津波によって、一家は故郷を失う。
原発事故という単発のイッシューとしてでなく、戦時中のウラン開発にまで遡って福島と核の宿命的な関係を、核に翻弄されたある家族の歴史と絡めて描くのは面白い試み。
力作だと思う。
ただ非常にリアルな題材を扱いながら、心が震えるほどには突き刺さってはこない。
それは前面に出ている核の存在が、登場人物の葛藤の遠因ではあるものの、直接的な問題ではないからだろ。
基本15歳の視点で描いた事は、プラスとマイナスがあったと思う。