映画の一言一言がとても重くて、ただただ辛くなるような話が続く。
観たあとずしっとした疲労感がある。
だけど素敵だと思うのが、本編中ひたすら流れつづけるナレーションの言葉選びが非常に繊細で美しいときすらあること。
監督は子供の頃から詩に慣れ親しんでいたようなのでそのせいかと思ったが、テキストを書いた方は別にいるそう。そういう監督の演出が非常に成功したということだと思う。
人形を使って語らせた表現も秀逸。
内容の性質上、映像資料が圧倒的に少ないので、映像作品にするには難しかったと思う。でも資料映像とインタビューだけで構成していたらただただ重苦しいニュース映画になっていたかもしれない。
人形に語らせたことで観客の想像の幅か広くなる。それぞれが消えた凄惨な、または美しい画を思い描くことができる。
人形と詩人に語らせたことで、人間の最も愚かで醜い行為の告発が、美しく心に染み入り印象を残す。
きっとこの映画は人の記憶から忘れ去られないだろう