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ムカデ人間3のmidoredのレビュー・感想・評価

ムカデ人間3(2014年製作の映画)
2.3
ムカデ人間3はアメリカの刑務所に舞台を移して国家予算でムカデ人間を作るスーパープロジェクトだそうです。ひとことで言えば悪趣味のカタログみたいな映像でした。

やることなすこと最低最悪で、胸糞悪くて、気色の悪い所長のシュールな怪演に目が離せませんでした。囚人たちの「デス・レ◯プ」コールを浴びながら「俺を尊敬しろォ」と虚な顔つきで銃をぶっ放すお爺さん所長。滑稽ながらうすら怖い。軽食のチョイスもあらゆる意味でアウトです。

そんな、休みなしに展開する悪趣味ワールドに、1割爆笑あと9割は唖然といった感じで飲み込まれてしまいました。

ただ今回は変態の奇想というより、タブー破りのギネス記録にでも挑戦してるようなわざとらしさが感じられました。空いた口がふさがらないという意味では退屈しませんが、面白いかと言われると微妙な線です。こういうのを褒めて面白がらなきゃいけないノリは正直疲れます。

ラスト数秒、ムカデ人間のくせに含蓄があったのも良かったのか悪かったのか。ムカデ人間プロジェクトによって囚人というカオスを制した刑務所の整然とした美しさは確かにファシズムの美しさです。他者や混乱に耐えられず、ひたすら清潔さと秩序を求める心にはこの所長のごとき怪物が隠れているというわけです。理屈は分かりますがムカデ人間で言う必要はあるのでしょうか。露悪的な派手さに反してだいぶわざとらしく整然とした作品だったように思われます。
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