クロスケ

海を感じる時のクロスケのレビュー・感想・評価

海を感じる時(2014年製作の映画)
2.8
ヒロシから頑なに拒絶されていたエミコが、次のシーンでは仲睦まじくベッドで肌を重ね合わせているといった唐突さに些か戸惑いましたが、執拗に「帰れ」という台詞をエミコに投げかけるヒロシとそれに抗うエミコとの間で繰り広げられる攻防には、奇妙なおもしろさがありました。

何故、エミコはヒロシに惹かれたのか、ヒロシがエミコを受け入れるに至ったきっかけは何だったのか、といった心情の変化を大胆に省略して、ひたすら「求める者」と「拒む者」の即物的な戯れに終始する展開は、ラブストーリーの極北を見てるような気がして、興味深い作品ではありました。

ただ、カメラと被写体との距離や一つのショットをどれくらい見せるか、といった映画的な取捨選択が少しずつズレているせいで、いまひとつ物足りなさを感じてしまうのは否めません。

ちょっとしたボタンのかけ違いで、傑作にも成り得たかなと思えなくもありません。
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