Kumonohate

海を感じる時のKumonohateのレビュー・感想・評価

海を感じる時(2014年製作の映画)
3.4
驚いたのは、現代のキャストとスタッフで作ってるのに、70年代後半から80年代前半あたりのムードや空気感が、信じがたいくらいバリバリ再現されてたこと。この点においては、近年のどの映画よりも優れている。すげーな、どうやったらこんなこと⋯と思って調べてみたら、原作が36年前なのは知ってたが、脚本も30年前に書かれたのを殆ど手を加えずに使っているんだとか。青写真は当時のモノだったのだ。なるほど。脚本恐るべし。

で、次に驚いたのは、そういうあの時代の空気感やテンポに、今の自分が振り落とされそうになった(つまり、寝ちゃいそうになった)こと。あれ? 自分、あの時代、好きなハズなのに。この映画では、あの時代が、まがい物じゃ無く再現されてるハズなのに。何で? もしかしたら映画館で観たから? そうかもしれない。映画館というパブリックな空間では、自分は厳然たる2010年代のヒトであって、だから7〜80年代の肌触りを異質に感じるのかもしれない。逆に、この映画を夜に自宅で観たら、もしかしたら振り落とされないのかもしれない。なぜなら、プライベートな空間では、自分は70年代のヒトになれるから。

作品の内容とは関係無いかもしれないが、そんなことが感じられて面白かった。
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