真田ピロシキ

ヘラクレスの真田ピロシキのネタバレレビュー・内容・結末

ヘラクレス(2014年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ほとんどの人が名前くらいは知ってるであろうギリシャ神話の大英雄ヘラクレス。冒頭のヘラクレス出生時のエピソードや12の難業を見るにさぞかし神がかった英雄譚を拝めるのだろうとワクワクしていた。しかし映画では冒頭の語り以外に神話的要素はなく人間的な物語ばかり。大勢の軍がぶつかり合う壮大な絵図には唸らされるものがあったし、ヘラクレスとその仲間達も強者感は満載だったものの、やや肩透かしされてる気分が否めなかった。

しかしここで作中のヘラクレスはあまりに強すぎるためにゼウスの子を名乗っていた身元不明の男だという衝撃の事実が判明。それで映画の見え方が逆転。ドウェイン・ジョンソンの肉体が鋼のように逞しくはあっても神々しさはなかったこと、モブに過ぎない軍の兵士を地道に鍛え上げる描写にかなり腰を入れていたことも人間ヘラクレスとしては全く正しい。人間の範疇を超えない超人的な強さで軍を引っ張り勝利を掴むヘラクレス一行に猛者としての頼もしさを覚える。

それで終わっても私としては十分なくらいだったのだが、本作はまだ終わらない。簒奪者にして暴君たる王に反抗するヘラクレスはここで神の如き底力を発揮する。それはまさしく神話的な英雄のもので大カタルシス。締める言葉が「ゼウスの子でなくても英雄にはなれる。自分を信じることだ。」で心を鷲掴みまくり。エンディングではヘラクレスとその家族(仲間)が協力して12の難業を達成していく様子まで見せられて胸が熱い。当初思い描いていた内容とは全然違うがとても満足できた映画だった。