ぴよまろ

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のぴよまろのレビュー・感想・評価

3.9
第二次世界大戦中、当時不可能とされていたドイツ軍のエニグマ暗号の解読を、イギリスの数学者アラン・チューリングと仲間たちが取り組む、事実をもとにした物語。

戦争映画ではありますが、研究者として暗号解読に心血を注ぐ物語なので、ドンパチは無いです。その代わり、学者ならではの対立や閃きが丁寧に描かれ、彼らなりの激しい戦いと葛藤が描かれていました。そしてその解読作業の過程で描かれる、主人公アラン・チューリングの、天才ゆえに他者から理解されにくい苦悩と、性的マイノリティである葛藤がが伝わってきました。彼の数学者として作り出した理論がコンピュータ発明の礎となるわけですが、それに至る過程が、彼の苦難の中で、うまく描かれていたと思います。特に、彼が作り出した暗号解読マシンが、彼にとってただの機械以上の存在になることが、印象的です。

作中でも語られる通り、史実的なこととして、アランと彼のチームの功績は長らく秘密とされていたり、性的マイノリティ=違法とされていた時代であったりと、孤独の中で戦ったことは、多少脚色はあるのしても、物語として学びとなりました。

孤独な数学者と仲間たちによる、静かな戦いの作品でした。
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