ダイアー教授

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のダイアー教授のレビュー・感想・評価

5.0
題:イギリスを戦勝国にした影の功労者
製作:2014年、アメリカ
原題: The Imitation Game
監督:モルテン・ティルドゥム
原作:アンドリュー・ホッジス『Alan Turing: The Enigma』
主演:ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、マーク・ストロング、ロリー・キニア

本作は歴史作品としても、娯楽としても人間ドラマとしても、非常に素晴らしい映画だと思う。
3つにまとめてレビューします。

1.イミテーション・ゲーム
アランは人工知能(AI)が“人間的”かどうか判断するテストを考案した。
それが“チャーチ・チューリングテスト”、つまり“イミテーション・ゲーム”だ。
※『ブレードランナー』でデッカードがレプリカント相手にやる尋問はこのテストが元ネタだと思われる。

アランを尋問した刑事は彼をどうジャッジするか?
男か男以外の存在か?人間…ケダモノ?それとも機械?

2.ベネディクト・カンバーバッチ
チューリングを演じたカンバーバッチが素晴らしい。
彼は頭がデカい。脳ミソがいっぱい詰まっていそうなので天才役が合う。
そしてハンサムだ。妖しさを帯びた色気が漂うが、それはチューリングの性的嗜好も匂わせる。
絶妙なキャスティングだと思った。
※ちなみにチューリング本人は顔が四角く、カンバーバッチのような美男子ではない。

3.映画的な演出
実話を基にしているが、映画にするために脚色が加えてあり、それは本作に非常に効果的であったと思う。
・フックとなる台詞
「時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる」
本作の掴みとなる台詞でグッとくる。
・エニグマ解読に至るまでのプロセス
実際の解読は非常に地味な作業の積み重ねで、アラン以外にも2千人が解読に従事していたが、人数を絞ってドラマチックに描いている。
・ラストの台詞
ラストの“今、私たちはそれを○○○○○○○と呼んでいる”ってのはとても良かった。