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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のKtoのレビュー・感想・評価

5.0
【ひとこと説明】
WWⅡ中にナチスの使う暗号-エニグマ-を解読するべく雇われた天才数学者が色々な困難に直面しながらも奮闘する話

【感想】
“Sometimes it is the people no one imagines anything of who do the things that no one can imagine.”

脚本が美しすぎて最高だった。ブラックリスト(映画化されていない脚本を対象とした評価及び映画制作マッチングのプロジェクト by wiki)から選出された脚本なだけあって、非常に技巧的にもドラマ的にも優れていた…。

上記の台詞は作中で何度か繰り返されるんだけど、物語全体のキーワードとなっていて、脚本家 グレアム・ムーアが原作から受けた衝撃や作者への尊敬と愛情を全面に主張している力強い言葉だった。
 

「発信者と受信者だけが解読できるメッセージって、普通の人の会話も同じじゃないか。みな、意図していることと違うことを喋るのに、通じあっているじゃないか」というほど、行間を読むことができない不器用なアランが、リンゴを配ったりジョークを言ったりするシーンは本当に可愛かった。愛おしすぎる。

戦時中のスパイが絡んだストーリーならでは嘘の応酬(ジョーンは買い物に行ってるだけだ、マタイ福音書等)や、解読後の行動指針で仲間割れが起きたり等 戦時サスペンスとしても非常に面白い。二枚舌外交の英国はこの頃から健在だった。

”イミテーションゲーム”の部分はアランの理論を展開しつつストーリーテリングのきっかけとなっていて技巧的だった。レベルがとても高い…。“Are you paying attention?”, “ I can’t judge you”

最後のジョーンの言葉が、この映画のまとめとしてアラン・チューリングの功績を称える賛辞となっている。美しい…。
“Now, if you wish you could have been normal... I can promise you I do not. The world is an infinitely better place precisely because you weren’t.”
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