キャッチ30

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のキャッチ30のレビュー・感想・評価

4.1
「そのままの君で大丈夫、君にも居場所はある。」
この言葉は昨年のアカデミー賞を受賞した脚本家のグレアム・ムーア氏のスピーチです。私の中で今でも感動的な名言であり、今作のメッセージともとれます。


物語は主人公であるアラン・チューリングの転機ー1928年の寄宿学校時代、1939年から1945年までのナチスの暗号機エニグマの解読、そして1951年のわいせつ罪(当時の同性愛は違法)で逮捕される。ーを交互に描いた構成となっています。この三つの時代からチューリングが孤独で、居場所が無いことが窺えます。けれど、彼を気にかけてくれる人物もまた存在することは確かです。それが、寄宿学校時代の唯一無二の親友クリストファーとエニグマ解読班の同僚ジョーンです。


チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチやヒロインのキーラ・ナイトレイをはじめ、キャスト陣も素晴らしいのですがスタッフ陣も優れています。作曲を担当したアレクサンドル・デスプラによる物悲しい伴奏は観客にチューリングの切なさを共有しているように感じられます。この方も昨年のアカデミー賞で今作と「グランド・ブダペスト・ホテル」で作曲賞にダブルノミネートされ、後者で受賞を果たしています。


「時として誰も想像しないような人物が想像できない偉業を成し遂げる。」この言葉はクリストファーがチューリングに残した言葉です。この言葉はその後、ジョーンにも伝えられます。また、アカデミー賞を獲ったグレアム・ムーアにも同じことが言えるなと思いました。