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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のvenom9のレビュー・感想・評価

4.0
早すぎた天才の非業の生涯。
第二次世界大戦時に、ナチス・ドイツのエニグマ暗号の解読に成功した、英国の数学者/暗号研究者であるアラン・チューリング(演:ベネディクト・カンバーバッチ)の半生を描きます。
アラン・チューリングはチームでエニグマ暗号解読のための装置を開発し、見事解読に成功しますが、1952年に同性愛行為で逮捕され投獄か保護観察か選択を迫られ、女性ホルモン注射を条件に保護観察処分となるのですが、結果心身の失調に苦しみ、2年後に亡くなっています。警察は自死と断定しています。今では信じられませんが、英国では1967年7月まで同性愛行為は違法でした。米国も同様で、合法化のタイミングは州によって異なりますが、1973年までアメリカ精神医学会は同性愛を精神疾患の類と定義していたようです。戦勝の功労者として重要人物でありながら、性的マイノリティであるが故に犯罪者として扱われ、公職から追われ、その功績は禁句とされました。
まずはベネディクト・カンバーバッチの演技が素晴らしく、研究者・技術者としての揺るがぬ自信と、社会の無知・偏見による同性愛者としての闇を併せ持った人物を繊細な演技で表現しています。ベネディクトの演技と役作りのためチューリングについて学んだ姿勢について、チューリングの遺族は絶賛しているようです。チューリング役は当初レオナルド・ディカプリオが狙っていたという話がありますが、ベネディクトでよかった。
助演のマシュー・グードが妙に格好良いですね。ドラマ「ディスカバリー・オブ・ウィッチズ」でも素晴らしかった。
マーク・ストロング、よくある感じの配役でしたが渋い良い仕事をしております。
本作、米国での配給はワインスタインカンパニーが担っていました。せっかく良い作品なのに、ワインスタインの名のせいで作品が毀損される印象拭いきれません。
(2022年1月10日 NETFLIXで鑑賞)
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