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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密のkazzのレビュー・感想・評価

5.0
偽り、装うことのできない不器用な人間。あまりにも残酷な時代に生まれてしまった天才。
ナチスの暗号を解読する為集められた人々の一人が主人公。
主人公にとっての暗号とは、普通の人々が湾曲的な言葉を使うそれに等しく、人と向き合うことが上手くできない彼にとっての湾曲的、あるいは間接的な他者との関わりに不可欠な仲介媒体だった。

解読する傍らで人々が刻一刻と戦争で死んでいく。その瞬間瞬間、彼は暗号解読を介して人生で初めて他者と交わっていた。過酷であったろうが、その時彼は初めて人間らしく生きられたのではないか。

普遍的な人間の生きる困難さを集約させた素晴らしい作品。
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