April01

ビッグ・アイズのApril01のレビュー・感想・評価

ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)
3.8
アート創造の過程の本質を描いた作品。
作者に作品の解説を求めると、出てくる言葉はパーソナル。
個人的かつ内面から出てくるもの、それを商売道具の言葉にするのは難しい。
言葉にすることを商売にしてくれる人がいてこそ、アートが日の目を見る一面があることも忘れてはならない。

一方的にウォルターが悪い、という印象は持たなかった。
クリストフ・ヴァルツが憎たらしすぎて、恐怖の存在なんだけど、終盤の法廷での1人2役はもはやコメディで、自分の才能に溺れる哀れな商売人を見事に演じている。

今どきのネットの真似文化に馴染んでいる人たちは、映画が描く当時よりも、いかに著作権に敏感かということにも気づく。
美術系の人は若い頃から作品に署名を入れるのが習慣化しているようだし。
それでもやはり盗作の誘惑に負けてしまう事件が少なくないことから、本作の描くオリジナリティの問題には普遍性がある。

芸術家の妻と、それをサポートするビジネスマンとして役割分担をすれば上手くいったかもしれないけれど、自分自身がアーティストになりたいと思い、全てを奪った泥棒の末路はこうなるという教訓のようでもある。
April01

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