このレビューはネタバレを含みます
確かにどんでん返しではあったが、決して気持ちのいいものではなかった。
月並みなことを言うようだが、理由の如何を問わず殺人は許されざることであり、「死人に口なし」だからと言って虚言によって死者の尊厳が損なわれることがあってはならない。(「死」が不可侵な安全領域となるのも解せないが。)
陪審員制度を上手く利用した、法を熟知する者の小賢しい手法。
法治国家において、善悪の判断に市民感情は必要なのだろうか。
素人故に生じる恣意性が、「ひとがひとを裁く」ことの正当性、延いては裁判制度そのものの存在意義を脅かすことになるのではないだろうか。
陪審員制度と裁判員制度とはまた違うが、裁判員制度についてまた考えるきっかけとなった。
"絶対不利な裁判に敏腕弁護士が挑む、至極の法廷ミステリー。"という煽り文句に首を傾げること間違いなし。