茶一郎

砂上の法廷の茶一郎のレビュー・感想・評価

砂上の法廷(2015年製作の映画)
2.9
『 劇場版 逆転裁判 』

 今度のキヌアは、父親殺しの容疑をかけられた少年の弁護に。七三分けのキアヌ・リーブスが主人公。
監督は「フローズン・リバー」で遅咲いたコートニー・ハント、脚本は同じ法廷モノ「運命の逆転」のニコラス・カザン。
 原題「The whole truth(完全な真実)」とは程遠い、嘘つきばかりの証人たち、言っていることと回想が全く違う。おまけに被告人の少年は弁護士キアヌに口をきいてくれない。一体、何が真実なのやら。

 上映時間が94分と非常にタイト、ストレスの全くないスマートな語り口、十分に楽しめるのだがとても地味な印象。80点満点のジャンルの中、オートバイに乗ったキアヌが70点のまま走り去っていった。
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 舞台はほぼ、法廷内、公判のみのワンシチュエーション。それぞれの関係者の回想と証言で構成され、その行き来をストレスなく交通整理する語り口の巧みさは確か。
 証人の言っていることと、今まさに見ている回想の映像が全く違っている『おいおい、ウソかよ』と、真実が明らかになるにつれ利益と真実との間で揺れ動くキアヌすらもウソをつこうとする。
『お前もウソつくのかよ』といわば観客の視点が陪審員の視点を超え、ウソを見抜くのが得意という新人弁護士の視点と重なるのかもしれない。最後には『お前がウソついてたのかよ』と少々の驚きが待っていた。

 いかんせん、地味な印象で、物足りなさを感じてしまう。もう一つくらい要素があれば良かったのか。
弁護士キアヌがこの裁判で敗けたら弁護士としてのキャリアが終わってしまうその緊迫感、とか、おとなしいと思っていた弁護士キアヌが実は暗殺の天才で、ペットの犬と一緒にダンマリの被告人、検察、陪審員たちを銃と柔術を合わせた暗殺術で殺しまくる爽快さ、とかさ。
茶一郎

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