井出

ジャンヌ・ダルク裁判の井出のネタバレレビュー・内容・結末

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

足、手のアップ、ブレッソンだ。
顔は映さない
話の内容は冒頭から分かっている。どう展開していくのか。
力強い太鼓とトランペットの音。ジャンヌの戦いのイメージか。
カメラは無駄なく動き、無駄なくカットが切られる。足下だけで表現。素朴で、淡々とした力強い作風はジャンヌを描くのにも、中世の宗教を描くのにもあっている。その作風のなかに、高尚さ、清廉さが見える。
そんなブレッソン、ジャンヌだからこそ、ジャンヌの涙がどれほどのものかを強く考えさせられる。
挙措動作、セリフだけで心情をうまく伝えている。
性の話はフランス多い。宗教の揺らぎ、弁護士、助言者がいない
光がさし、奪われる。聖なる視線から人の視線へ。壁の穴は第三の目線。しかし人が覗いては神の視点ではなくなる。覗き穴の意味とは。
司教の目線は追うだけで何かを意図していて、ジャンヌの恐怖を煽る。
トランペットの意味。正義?神?

「魔女に死を」「火刑に処せ」人の声、憎悪の声たまに本当の声か、悪魔の声のような空想のものかもしれない声も聞こえる。当時は形而上のものと形而下のものが区別なく入り乱れていたんだろうな。本当に神の声、天使の声、悪魔の声はあったのかもしれない。ジャンヌダルク裁判の記述から見えるものを映画にしたんだろう。ところどころ、人為なのか人為じゃないのかはっきりさせずにことがおこるところがあって不思議。
ミサから拒まれたジャンヌ。神から物理的に引き離される。
扉の意味。
存在の否定。髪一本も残すな
涙の撮り方いいなー、ブレッソンにとって、フランス人にとって、ジャンヌが特別な存在だとわかる。
とぼとぼと歩く、足下だけ、哀れな感が増す。
煙る十字、火に消えるジャンヌ。どこに消えたのか。天国か。鳥と共に飛び立ったか。
井出

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