てくのすけ

毛皮のヴィーナスのてくのすけのレビュー・感想・評価

毛皮のヴィーナス(2013年製作の映画)
4.0
場末の劇場、演出家の男と遅れてオーディションに現れた女。二人しかいない閉鎖空間で徐々にシームレスになっていく現実と虚構。マゾヒスティックな本性を剥き出しにされる男。芸術の皮の下に潜む倒錯をポランスキーは丁寧かつ大胆にさらけ出して見せる。すげー面白い!

舞台を舞台にした舞台劇のようで(ややこしい)登場人物も二人だけなのに、完璧な演技とふいに戻る現実、実名と役名、細かい伏線などでスクリーンに釘付け。殺戮の眷属にも重なるヴィーナスに抗えない男の悲喜劇とは裏腹に、言い知れない恐怖。ラストショットには震えが走りました。
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