近本光司

砂漠の流れ者の近本光司のレビュー・感想・評価

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)
3.5
砂漠の荒くれ者たちが徒党を組んで派手派手しい掠奪を仕掛けたりするよりも、偶然発見した水脈をもとに金策に走るほうがよほどアウトローで、現実みがあって、格好いい。土地の占有と町の興隆をめぐる考察。いつか「ケーブルズ・スプリング」には往来の人が溢れ、定住者もあらわれて活気付く日が来るかもしれない。その頃にはこの未開拓地を買い、やがて自動車に轢かれてあっけなく死んだ男のことは、だれもまともに憶えていないのだろう。歴史書に載っていないだけで、この世界に存在する(した)すべての町にそうした固有の創世記があるのだと思うと眩暈がしてくる。