ポルりん

プラネット・オブ・エイリアンのポルりんのレビュー・感想・評価

1.4
色々な意味でB級映画好き以外は観る必要のない作品。

あらすじ

地球との交信が途絶えたまま、なんとか観測衛星設置のプロジェクトを終えたアイバンほか3名の宇宙飛行士達は、低温睡眠を経て40年ぶりに地球に帰還した。
しかし彼らが宇宙にいた40年間の間に、地球は高度な知能を持つエイリアンに侵略されていたのだ。


ティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES/猿の惑星」にタイトルと雰囲気が何となく似ているという理由で鑑賞。
個人的に「PLANET OF THE APES/猿の惑星」は嫌いな映画だが、本作はそれを更に劣化させたような作品であった。

CGは小学生の頃に遊んでいた「トバル2」と同レベルだし、ストーリー上不要な部分が多すぎる。
SEに関してもテレビのバラエティ番組で使われる低クオリティーなものを多用するだけではなく、使い方も全然センスが無い。

特にエイリアンが滞在している基地の自動ドアのSEが酷い。
良くSF映画で宇宙船の自動ドアが開く時に、「プシゥーーー」
といった効果音が使用されるが、これに近いSEが使われている。
宇宙船などのチタン合金(?)などの金属ならばこのSEもありだが、エイリアンが滞在している基地の外壁や内壁はどう考えても木材メインで作られている。
木製の扉を開いた際、「ギイィィーーー」といったSEならば納得なのだが・・・。

それ以上におかしいのはエイリアンが滞在している基地のデザインだ。
本作の設定では、エイリアンが地球を侵略する目的は木材を強奪する為らしい。
どうやら、エイリアンの母星では木材が地球のダイヤモンドと同じくらい高価であり、ようは金儲けの為に地球を侵略している。
その設定だと、このエイリアン達は地球でいうダイヤモンドで基地を作っている事になる。
人間は殺すが木は傷つけない爆弾で侵略するといった徹底ぶりなのに、何故そんな無駄遣いをしているんだ。

エイリアンは人間を奴隷にしているのだが、何故か木製のスプーンを与えている。
細い角材を荷台に積むだけといった楽そうな作業をするだけで毎日食事を提供しているし、地球や予算だけではなく奴隷に対しても優しいエイリアンに思えてくる。
某国の大統領とはえらい違いだ。

侵略した優しいエイリアンであるが、肉弾戦に関してはシャレにならないくらい弱い。
攻撃力に関しては人の頭を丸飲み出来るほど高いが、装甲が紙過ぎる。
信じられないような話だが、殺傷能力などまるで無さそうな木製のスプーンのような工具で刺しただけで息絶えてしまう。
20年間エイリアンが死ぬところを誰も見ていないと言っていたが、全く持って信憑性がない。
恐らく、椅子から滑り落ちただけで死んでしまうのではないだろうか・・・。

「スターウォーズ」のドロイドみたいな動きをするし、人類の敵としてはあまりにも弱すぎる。
エイリアンは近代兵器を用いて人類側に攻撃するのだが、対して人類側の武器は弓と剣だ。
数の面でもそんなに大差なく、どう考えてもエイリアン側が勝ちそうなものだが、完膚なきまでにやられてしまう・・・。

これが、人類側に黒田官兵衛のような切れ者がいるのならまだ分かるのだが、本作にはそんなキャラクターは存在しない。
戦略など全くなく、ましてやスパルタ軍のように強者がいるわけでもなく、普通の医者と村人A、村人Bといった一般人である。
ただ敵があまりにも弱すぎた為、普通に戦ったら勝っちゃったといった所だ。
恐らく現在のピーター・アーツとジェロム・レ・バンナだけでエイリアンを殲滅出来るのではないだろうか・・・。
いくら特殊な爆弾があったとしても、この優しき貧弱エイリアンが地球を支配したといった設定はかなり無理があると思う。

また、種族主義のような思想を窺わせるようなシーンがあるのに、木製の工具で殺害されたエイリアンの火葬するシーンでは、

エイリアン「あやえやや~~、あやえやや~~」

と情けない声が放ち、手を上げ下げしている。
死者を崇めているように演出しているのかもしれないが、私には愚弄しているようにしか思えないのだが・・・。

このような情けないエイリアンに従う賞金稼ぎ(人間)がいるのだが、当たり前だが忠誠心の欠片もない。
主に、奴隷を監視するのが仕事なのだが、適当に監視しているようにしか思えない。

主人公が反乱を起こし、複数の賞金稼ぎが撲殺され、

奴隷「自由を!」

と言いながら仲間を集めてる。
普通に反乱を企ててる現場を違う賞金稼ぎが目撃しているので、主人公を捕まえようとするのが普通だと思うのだが、

賞金稼ぎ「何してるんだ!働け!」

とだけ言い、スタスタと持ち場に戻っていく。
やる気がゼロなのか、それとも重度の痴呆症を患っているのだろうか・・・。
いずれにしても、こんな無能に金銭を与えてるエイリアンの気がしれない。

主人公が反乱を起こしてから大統領を探す旅に出るのだが、その際に主人公の魅力に惹かれ仲間になるキャラクターがいるのだが、その数がなかなかに多い。
大雑把にしか分からないが、大体10人くらいのキャラクターが仲間に入る。
一応、隠密行動での旅だと思うのだが、主人公の後ろを仲間がぞろぞろと着いていくので目立ってしょうがない。
どう考えても馬車が必用だ。

しかも、旅の途中で仲間になるキャラクターの差別化が全然出来ていない。
皆、同じような髪形、ひげ、服装をしているので誰が誰だか分からない。
一応、魚とり名人といった設定があるキャラクターもいるのだが、劇中でその設定が活かされる場面は皆無である。
そもそも、腹に風穴空けられた重症患者を仲間にして何の意味があるのだろう・・・。
大統領を探す旅に同行させるのではなく、まず近くの村で休ませるべきではないだろうか・・・。

また、配給がクソ映画マイスターのトランスフォーマーだから仕方のない事なのかもしれないが、字幕と吹き替えで全然違うセリフを言っているシーンが多々ある。(妻と洋画を鑑賞する際は、音声を吹き替えにして、字幕を付けている)

一部抜粋すると、字幕では「どうやって?」と書かれているのに対し、吹き替えでは

主人公「頼んだ」

と言っており、全く違う意味だ。
更には、字幕でセリフが表示されているのに、吹き替えでは一言もしゃべらないシーンがある。

超低級Z級映画「ゾンビvsゾンビ」よりはマシだが、プロならこういった事くらいしっかりして欲しいものだ。


色々と不満な点が多い作品ではあるのだが、一番は全てのキャラクターのセリフが説明口調過ぎるという事だ。
キャラクターの心情だけでなく、劇中で起きた出来事を全てセリフで事細かに説明している。

例えば、仲間が遠距離から銃で撃たれて殺されたとしたら、

主人公「クソォォーー!!あっちの方向から銃で腹をぶち抜かれて仲間が死んでしまった!!」

といった感じで、画面を観なくても物語を理解する事が出来る。
もはや、映像を用いて作品を表現する意味がない。
何なら映像を見ないで音声だけ聞いた方が、不要なものを見なくて済むので楽しめるのかもしれない。
まあ、それだったら普通に「FMシアター」を聴いた方が良質な時を過ごす事が出来るのだが・・・。

ブルース・キャンベル主演なのに勿体ない。
ポルりん

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