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仁義なき戦い 代理戦争の教授のレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)
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「仁義なき戦い」シリーズ3作目。
前作は「スピンオフ」的な扱いなので実質は1作目の続編。

もう、神がかり的にべらぼうに面白い。
戦後日本の歴史的テキストでもあり、青春映画であり、日本の民主主義や資本主義、社会と個人の関係を描いたドラマであり、バイオレンスを通した活劇アクションとしてエネルギーに満ち溢れた傑作。

主人公広能(菅原文太)が作品の倫理観の中心にいながら、それでも「暴力団」であることとアイデンティティが繋がっているアンビバレントな人物造形。
収入源としての暴力と「仁義」という社会倫理の遵守という「プロ意識」はヒロイックに描写されつつ、手下の越権行為に対しては狂気を感じる激昂で木刀で殴り倒す凄み。その激しさと優しさが裏表にあるヒロイズムを菅原文太の名演技でより高める。

シリーズ最大の悪役である山守(金子信夫)の映画史上最大の「悪役」と言ってもいい濃密なキャラクターの非人道性は現代でも普遍的な「悪」の存在そのものだ。
映画冒頭ではそのカリスマ的佇まいで「カッコいい」と賛美してしまう武田(小林旭)や松永(成田三樹夫)も、その勢力争いの中で懐柔されてしまう。

濃密なメッセージと、社会そのものの残酷さを捉えた脚本に、アグレッシブで常時テンションの高い演出。個性派揃いの悪の強い、しかし巧みな俳優陣。
荒っぽさの中に、非常に緻密で繊細なつくりに毎回興奮してしまう。
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