葛西ロボ

仁義なき戦い 代理戦争の葛西ロボのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)
4.0
 それまではわりと単純だった対立の構図が神戸のヤクザの介入によって途端に難しくなり、報復に注ぐ報復のような展開も鳴りを潜め、表向きは盃を交わしながらも水面下では~といったような政治劇が主体に。明石組と清和会という全国組織の代理戦争が広島で勃発し、新生山守組の中で権謀術数が渦巻く。
 それまではいつ子分に刺されたり、取って代わられてもおかしくない、正直どうしてこんな雑魚っぽいやつがのうのうとてっぺんに……と思っていた山守組長の強かさを3作目にしてようやく実感。とんだタヌキじじいだ。
 そして、本作でも煮え切らない上層部のせいで命を失う鉄砲玉が描かれ、泥沼と化したベトナム戦争で命を落とす兵士と重なる作りになっている。今後広能はどうするのか。どうなってしまうのか。警察の影がちらつき始める中、次の展開が気になる脂の乗った中盤と言える。