日本役者オールスター陣が1番脂の乗り切った時期の演技合戦。
シリーズ屈指の政治劇。
まるで応仁の乱を見ているかのように、背景に控える勢力が行ったり来たりする。
広島での跡目争いは
全国への影響力増大を目指す神戸の暴力団の介入を招いた。
仁義はなくなり、各々の欲望のままに、突き抜けていく。
なめられちゃ格好がつかんとか筋が通る通らない、おやっさんのメンツが云々の話すらも権力闘争を前にしては全て、相手を出し抜くための手段でしかなく、画面が魑魅魍魎のクソ野郎で満ちていく。
それはお国のため、大東亜共栄圏建設のためとお題目を並べながら、実際は自身の権威・権力の拡大、メンツや体裁の確保のために300万人を死に追いやった先の大戦とも重なる。
戦争が終わっても誰かの欲望のために若者が犠牲になる。
代理戦争との名の通り、大国アメリカとソ連は直接ぶつかり合うことなく争った冷戦時代を反映している。
「せっかく終わった戦争がまた始まっちまった。」
ラストシーン原爆ドームのカットととともに始まる名語り。
「戦いが始まるときにまず失われるのは若者である。そしてその死はついに報われた試しがない。こうした死を積み重ねつつ、広島ヤクザの抗争はさらに、拡大の一途を辿っていったのである。」と締めくくられる。
深作欣二監督の鬼気迫るメッセージに触れ、鳥肌が立った。