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聖杯たちの騎士のBOBのレビュー・感想・評価

聖杯たちの騎士(2015年製作の映画)
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テレンス・マリック監督のロマンス・ドラマ。

舞台はハリウッドとラスベガス。享楽的な日々を送る成功した脚本家が、6人の美女と巡り合う中で、人生を見つめ直す。

"You think when you reach a certain age things will start making sense, and you find out that you are just as lost as you were before. I suppose that's what damnation is. The pieces of your life never to come together, just splashed out there."

テレンス・マリック監督作品は『天国の日々』以来2作目の鑑賞。

こんな映画は初めて観た。過去に観た映画でいうと、『8 1/2』や『グレートビューティ』に近い気もするが、それらともまた違う。もっと詩的で哲学的。ボーッと眺め、心で感じとるタイプの作品なのかなと思う。感覚的に嫌いな作品ではない。

最初は見方が分からず、夢見心地でうとうとしてしまったが、離婚した元妻役のケイト・ブランシェットが登場した辺りから、テーマらしきものが見えてきたので、興味深く観ることができた。富と名声、愛と美と家族、老いと死、辺りがキーワードか。

時間と空間を飛び越える。恐らく数週間、長くても数ヶ月間の話なのに、人間の一生分を見たかのような壮大さがあった。

現在抱いている孤独や虚無感、過去の自分に対する哀れみや後悔、将来に対する漠然とした恐怖や不安があった。今を全力で生きるしかない。

幻想的な美しい映像と、浮遊感のある神秘的な音楽と、登場人物たちのボイスオーバー。宇宙空間を漂っているかのような、夢の中を彷徨っているような感覚に陥る。

美しい女性しか出てこないが、ナタリー・ポートマンの魅力が群を抜いている。


・台本は存在したが、全シーンアドリブ。
・監督は、役者たちに対して、何についての映画か伝えないまま撮影している。
・テレンス・マリック監督命名"Torpedoing"法。撮影中に突然人を送り込み、役者の生のリアクションを引き出す。
・"Knight of cups" : 優しさ、美しさ、勇敢さ、純潔さ、高潔さを表すタロットカードの1つ。キーワードは、憧れ、希望、達成、朗報 /優柔不断、立ち止まって考える。

"You gave me peace. You gave me what the world can't give. Mercy. Love. Joy. All else is cloud. Mist. Be with me. Always."

"Dreams are nice, but you can't live in them."

"You don't want love, you want a love experience."

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