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セールスマンの死ののんchanのレビュー・感想・評価

セールスマンの死(1985年製作の映画)
3.9
アーサー・ミラーの同名戯曲は、映画や舞台で数多く演じられて来ている。
本作は戯曲内容をほぼ忠実に再現しているようで、ダスティン・ホフマンが初の老け役をして主演を務めたTVドラマ版の映画化❗️

セットは舞台の大道具っぽい感じを、上から脇からカメラを引いて敢えて見せている演出で、まるで演劇を観に行ったかのような気分になる。


63歳のセールスマン、ウィリィ・ローマン(ダフティン・ホフマン、当時47歳)の苦悩と心の葛藤を描いたドラマだが、その妻リンダ(ケイト・リード)、長男ビフ(ジョン・マルコヴィッチ)、次男ハッピー(スティーブン・ラング)の4人の家族の物語。

1950年前後のアメリカの一般的な中流家庭が舞台。家族の為に身を粉にしてセールスの仕事に徹し働き詰めだったウィリィだが、歳を重ね固定給がなくなり歩合給のみとなり、家のローンを返すのにも悩みが尽きない。
そこに未だに自立出来ない2人の息子、ビフは高校の単位を落とし進学も諦め、定職もなく実家に戻って来ている。ハッピーは女の尻を追いかけるチャラ男。

ウィリィは豊かだった過去の幻影に苛まされ、自分の子育てが悪かったのか?と、全てが負の連鎖で精神を病んでいく。誇りを持っていた仕事を失い、慨嘆し、最後には自ら死を選ぶ。
ラスト、その保険金で家のローンが完済されたことを嘆く妻リンダで幕が降りる。


舞台劇は台詞が多い。キャストの演技力に掛かっているので、ダスティン・ホフマンは難役でありながらも脂の乗った舌好調の演技は素晴らしい👏
息子たち、特にマルコヴィッチが当時31歳かな?過去の想い出シーンもやり、なんと高校生役をしています😄髪の毛は本物かな?🤔超〜若々しい✨イケメン💕
ブロードウェイでもオビー賞など数々の賞を受賞している名役者だが、この当時はまだ無名に近かったと思う。

戯曲は半世紀以上昔の作品なのに、現代にも通ずる親子の気持ちや社会の不条理さなどが描かれ、登場人物にいろいろな思いを馳せることができる力作でした💫
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