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セールスマンの死のメルのレビュー・感想・評価

セールスマンの死(1985年製作の映画)
4.0
退職年齢なのに家のローンのために仕事を続け、それでもセールスの仕事は上手くいかず、30を過ぎた2人の息子も一人前になれず人生の終盤に一体何がいけなかったんだ…と戸惑う男。

原作が戯曲なので登場人物も少なくシンプルなストーリー。
アメリカ社会が大きく変化していく時代の流れの中で、それに付いていけなかった小市民を丁寧に描いている。

主人公の躓きの原因の一つは現実をしっかりと直視できなかった事だろう。
息子への愛情と思い込みの強さから幻想と現実をごちゃ混ぜにして、堅実な努力をする事を否定した。
周囲に対してやたらとマウントを取りたがり、アメリカンドリームや一攫千金ばかりに憧れて真面目に努力する人間を馬鹿にしていた。

自分に実力を付けるより周囲の情を当てにして社長に懇願したりと、どうも時代の風が分かっていない。
その辺は現代日本の社会とも重なり色々と共感してしまった。

ダスティン・ホフマンと息子のマルコヴィッチの確執の理由が明かされるラストは大きく盛り上がり、マルコヴィッチの演技が光る。

メイクや歩き方で老け役に徹したダスティン・ホフマンだけど、声の若さは隠しきれず長台詞や力の入った台詞ではどうもエネルギーが余って不自然な感じが残った。

原作者のアーサー・ミラーはモンローの元ご主人という記憶とダニエル・デイ=ルイスの義父という印象の方がずっと強かったが、ダニエル・デイ=ルイスとウィノナ・ライダーの「クルーシブル」もアーサー・ミラー原作だと今回改めて知った。
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