三体艦隊

殺人ワークショップの三体艦隊のレビュー・感想・評価

殺人ワークショップ(2012年製作の映画)
4.6
白石監督作品でも上位に入る出来。怪異こそ出てこないものの、暴力について嫌になるほどリアルに描いている。
暴力を振るう側の弱さや、振るうことでの因果応報について。また、極度の暴力を経ないと、本当の絆を結べない人間関係について。
たけし映画に通ずる暴力描写だと思う。
白石監督はやはり、現実を描くのがとても上手い監督だ。だからこそ、怪異がいても成り立つが、怪異がいなくても十分に面白い。

白石監督作品は、暴力を軸にした倫理観が根底にある。カルト教団を皆殺しにしたり、テロに協力したり、作品のユーモラスな要素/ファンタジー的な要素で隠れているが際どい倫理観だ。
暴力への徹底的な自己批判性があるから、ぎりぎり成り立っている。
「暴力」を徹底してみつめる眼差しと、コズミックホラーの融合という稀有な才能をこれからも追いかけていきたい。
三体艦隊

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