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ザ・スリルのmanacのレビュー・感想・評価

ザ・スリル(2013年製作の映画)
3.5
嘔吐やゲテモノ食いとかとにかくグロイものがたくさん出て来る。血もいっぱい。
そういうのが苦手な人にはきつい。

指のシーンが観られなかったので早送りしたらちょどドンピシャなシーンで再生されてしまって思わず見てしまった。怖かった。


あらすじは、失業したクレイグと旧友のヴィンスが正体不明の大金持ち夫婦とバーで知り合い、ゲームを仕掛けられる。初めは長く息を止められた方に〇〇ドルなどの些細なものだが、次第に要求がエスカレートしていき…というもの。

クレイグは幼い子供を抱え家賃も滞納中。金が必要な状況ではあるが、ドラッグの力も借りてどんどん感覚が麻痺して異常なゲームも挑戦していく様が怖かった。

クレイグは大学も卒業してリストラされたとはいえまともに仕事もしていたらしいが、ヴィンスは高校を中退し借金取りの仕事で生活をしている。知り合った大金持ちの金を強盗しようとまで企むような人間。
この二人の対比が物語を面白くしていると思う。


一見悪い人間のようなヴィンスだけど、よく見るとクレイグよりも人柄はずっと良さそう。
久しぶりに偶然再会した旧友が金に困っていると知ると、ろくに状況を知りもせず少ししかないけどとお金を差し出そうとする。最初のゲームの賞金も躊躇うことなくクレイグに渡す。
何て気持ちのいい男だろう。


後半グロシーンが多くて何も考えられなかったけれど、よくよく思い返してみると何気に登場人物の心情を細かいところで丁寧に描いており、人間の本心が垣間見える面白いスリラーに仕上がっていたと思う。
最初から金持ち妻のヴァイオレットがやたら撮る写真も後半スライドショーにしたりと、話の筋道も丁寧に通してある。風呂敷広げたまま放置みたいな謎の伏線が散りばめられていないのですっきりする。
この金持ち夫婦が何者なのかは不明のままだったけれど、あまり違和感なく受け入れられた。何やってんだか分かんないけど、取りあえず凄いお金持ちで、そんでこんなゲームよくやってんだろなーって思える。きっとヴァイオレットは年間何回も誕生日があるに違いない。


エンドロールの主題歌は良かった。物語とかけ離れたイメージのロックで、この曲を聴くとグロくて恐ろしい世界観の物語から現実に帰れる気がした。
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