めしいらず

D坂の殺人事件のめしいらずのレビュー・感想・評価

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
2.6
乱歩作品の映画化は大抵がエロ部分を引き伸ばすばかりで原作の魅力を損なった駄作愚作が多いけれど、さすが実相寺昭雄だけあって雰囲気はなかなか。光と影に意識的な画作りや不穏な音楽がそれっぽい風情を醸している。時折挟まれる模型のカットも遊び心があり且つ効果的。お話自体は「D坂の殺人事件」に「心理試験」をくっ付けてみたらどちらとも別物の物語が生まれた印象で今ひとつ。また登場人物の名前を乱歩の別作品から拝借してきたのが雑音となり終始気になってしまうのは残念。具体的には絵師が大江春泥(陰獣)、贋作師が蕗屋清一郎(心理試験)、依頼人の古書肆が須永時子(芋虫)、モデルの花崎マユミ(少年探偵団)、刑事が笠森(心理試験では判事)といった具合で、ファンにはお馴染みの著名人ばかりなのである。
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