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D坂の殺人事件のGijoeGoのレビュー・感想・評価

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
3.8
ウルトラシリーズ以外の実相寺昭雄作品が観たくなり鑑賞。

実相寺作品には常連の嶋田久作や寺田農、三輪ひとみはいるがそんなに前には出て来ず真田広之と贋作を依頼に来た古本屋のおかみさんのとやり取りがメイン。

帝都物語の様なサイキックバトルも無い地味な作風だが独特の構図、ライティング、テンポに大正時代の雰囲気が超カッコイイ。
少ない予算でセットもロケも限定されるなか、アイデアを振り絞ってペーパークラフトのセットを冒頭に持ってきて箱庭の舞台を作ったり、ほとんど読めない旧漢字の事象説明などチープさを感じさせずに尖りまくったセンスのスタイルにシビれた。

台詞の殆ど無い映像で魅せる贋作の作り方や古本屋の使用人と蕎麦屋の妻との縄を使った秘め事などワイセツ描写一歩手前の上品な仕上がり。
エログロの要素はかなり低めだが緊縛姿をスケッチしていくシーンや職場でもある閉店してる蕎麦屋の店内での緊縛シーン等見所は沢山ある。

真田広之の妖艶な美しさと小林少年役の三輪ひとみのラストの表情が凄く良かった。

惜しむらくは解決編で静かすぎる台詞のやり取りのため眠気が生じた事。
面白いのにウトウトしてしまう。

不穏な画面に呼応するような現代音楽のBGMがハマっていて良かった。

万人受けはしないと思うが刺さる人には刺さる作品。

Blu-rayでもう一回観てみたい。
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