ドナウ

D坂の殺人事件のドナウのネタバレレビュー・内容・結末

D坂の殺人事件(1997年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

実相寺昭雄による変態紳士面目躍如。名探偵明智の活躍はあまり見られず、寧ろ燻る姿に衝撃。真田広之に劣らず嶋田久作の渋さに驚いた。監督の描く陰影、構図、絵作り総てが素晴らしく、倒錯する人々の美しさをも引き立てる。部屋に差し込む光、満ちる煙の中で薬物に溺れる姿の耽美なこと。絵のモデルに誘惑されるも役に勃たず、男根を象った物を集め、女装をし自己陶酔に耽る“男”にも“女”にもなれない蕗屋。贋作絵師が本物に異常な執着を抱いているのは性的不能であろう蕗屋の劣等感の表れで、彼に共鳴したのは中性的な小林助手。殺害と情事の対比は性の発露だったのか。
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