チッコーネ

聖獣学園のチッコーネのレビュー・感想・評価

聖獣学園(1974年製作の映画)
3.5
教会を舞台にキリスト教冒涜演出を連発、もし欧米で作られた作品であれば上映禁止レベルのアンチクライスト映画。
そして男性監督による男性向けサービスで埋め尽くされた、女体絵巻。
反骨精神ありきというより「エログロ路線を敷くのに、修道院は格好の舞台だから」と考えたように観えてしまうので、さすがに幼稚な悪乗りの印象は拭い難い。
とは言え非キリスト教国映画ならではの思い切った作風であり、ズベ公口語と慇懃な敬語が混在する両極端は、なかなか風通しが良かった。
また暴力演出の多くは、実際のキリスト教世界で実践された拷問のディフォルメであることも事実だ。

多岐川裕美はデビュー作から脱ぎまくりで気の毒になってしまうが、邦画黄金時代とアイドル歌謡全盛時代の狭間に適齢を迎えた美少女の不運ゆえか。
『女囚サソリ』でも酷い扱いだった三原葉子先生は、本作で「中年の悶え」担当、本人が楽しんで演じていたことを祈る。
原爆の影を引き摺る不浄の聖職者を演じた渡辺文雄は、表情を消した演技で意外と印象的。