我々が園子温に求めているものは何だ？
園子温という素晴らしい映画監督だからこそ本作品はガッカリの一言。
物語の舞台は園子温の大好物ばかりであるのにも関わらず、何も園マジックがかかっていない。普通のお子ちゃま映画になってしまった。
かといって話の内容はつまらないとは言い切れない。歌舞伎町という眠らない街の裏を舞台にスカウト達と女達の関係を描く。そんな暗闇の裏の世界に一筋の光を差し込む1人の男。非常に面白そうな内容である。しかし前述であるように園子温の存在がこの面白そうな内容を綺麗に消し去ってしまったと言えるだろう。
さらに後半にかけてのライバル関係の話あたりで一気に冷めてしまったのも事実。
高評価すべき点はやはりキャスティング。キャラクターと合っていて演技力も素晴らしい。新宿スワンの伊勢谷友介は僕の中で一番のお気に入りかもしれない。他にも山田優の着物姿に山田孝之の安定のハマり感。沢尻エリカは言うまでもない。もちろん主人公は綾野剛なのだが周りを固めるキャスト達が素晴らしい。
肉体的、精神的に狂った人間を表現する辺りはまだ園マジックが活きていたかな？
まぁ漫画だからと言ったらお終いだが歌舞伎町はもっと違う街でしょ？？
