【綾野剛と園監督の振り幅】
今作は綾野剛の身体性の振り幅を堪能できるかと。アドリブをがガンガン入れ顔を崩し、髪の毛に溜まった雨露を首を振って吹き飛ばすシーンはさながら動物。勿論、アクションでも野獣性が爆発している。特に元陸上部だけあって走る姿が美しすぎる。そんな綾野剛の身体性を万遍なく愛でられるのが今作。
あと、園監督の映画監督としての振り幅を堪能できる。園子温といえばインディペンデントとか作家性、芸術性等々の言葉で語られがちだけど、「ちゃんと商業作品成立している!」と唸らせられるのが今作。マイルドヤンキーが安心して観られる「男が暴力によって女を守る、救う」映画だけどその中にも園監督節というか狂気を見受けられる。
ちなみに、今作を観るなら是非ともTOHOシネマズ新宿で。新宿駅からリアル新宿スワンを横目に映画館に向かって行けばある種の4D的というか、街と映画が融解する瞬間があるはず。
あ、でも、どうせなら今は無き新宿ミラノ座の天井で大乱闘してほしかったな。