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大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院のnere795のレビュー・感想・評価

1.0
岩波ホールで見ました笑











もうそれだけで、「崇高な精神性」なんかを感じちゃう人がいるかもですが、この映像に出て人たちが、宗教としての意味をどこまで真剣に考えているのか?やってることは型でしかないんじゃないか

確かに中世の時代に、自給自足で君主権力の勢力下におかれることを拒み、辺鄙な地に武装して堅牢な石造りの修道院に閉じこもり、イスラムその他の攻撃から逃れている…という状況の中での祈りの生活、なら意味はないわけではなかった(過去形)だろうが、この現代で、型としての修行を貫いたところで得るものはあるのか? 

さらに言えば、この修道院、いったん廃墟と化していたものを立て直し(てか、むしろ物理的に住めるようにするっていう「建て直し」でしかないんじゃないか)、プレゼンとしての修道院生活(要するに日光江戸村とかスカンセンみたいな)を始めた、という事実、それは、映画キャメラが回っている時と、客がいない時との、生活風景の差すら透けて見える

この辺りは、ちゃんと政策側も明らかにしてるんだが、もう瞑想修道院の
知られざる側面を明かしたドキュメンタリーみたいな商売文句に
まんまと乗せられた「感動したい」層は、そのあたりは、目に入らないんだろう、「昔ながらの瞑想生活を垣間見る貴重な機会」とか思ってやんの笑

ちがうっての、フランスじゃあ、ニート層が一種の逃避と、カッコ付けのために、こういった瞑想生活にあこがれるってのがはやってて、その一方で、
フランス大革命以来荒れ果ててた寺院を観光資源として再活用するにも、
実際に住んで管理してくれる人が欲しいっていうニーズとがマッチしての
日光江戸村風、フランス修道院展示施設が増えてる

日本人やアメリカン人のお上りさんが大好きなモンサンミッシェルもそう
以前は荒れ果てた無人の寺だったのに、最近はたいそう坊主が増えて、
儀式なんかやるもんだから、またそれを狙って観光客が増えて、ウィンウィンで、観光収入も向上するっていう仕組み、

そんなわけだから、インタビューに答える修道僧の言葉の中から、真の宗教家のもつ重みを見出すことは極めて困難だった

撮影交渉〇〇年、とか言われてもなー
もったいつけてんじゃねぇ、としか思えない

カトリックについてはかなりの期間の実体験と知見を有しているつもりだが、あえていう、この作品は、観る価値はない、と
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