早朝に仕事を済ませて、通勤の集団に逆らいながら神保町へ向かい、おじさま、おばさま方の長い行列に驚きながらチケットをギリギリで手に入れ、いざ大いなる沈黙へ!
この映画は、照明機材を使わず(使えず)、よく通る声の聞きやすいナレーションも流れず(流せず)、スタッフは監督1人のみ(1人しか許可されない)で、流していいBGMもない(許可されたのは礼拝の聖歌のみ)。静かにそこに佇むあるがままの自然と温かな光と、修道士に刻まれた皺と、透き通った瞳と、修道士が生活する中で漏れる生活音の映画です。
この映画、古い宗教映画ではないんです。ほんの数年前に撮影された、現実のわたしたちと同じ時代を生きる人間の映画なんです。
寝てもよし、自分の生活と比べてもよし、修道士一人一人の顔に答えを見つけるもよし。
これほどまでに自分自身の感情を乱されない、自由な見方ができる映画はないかもしれません。
週末にだけ許される会話と、散歩。交わされる素敵なジョーク。
なんだか、見てはいけないものをみてしまったような気分にもなります。(この修道院はカトリックの中でも特に高潔な男子修道院)
彼らの修道着姿はとても素敵だった!
俗物まみれの世界の中で、
まだこんなに静かな環境でしなやかに暮らす人々がいることが素晴らしい。どうかこの静寂を脅かすものが現れませんように。長い歴史を繋いでいる彼らに感謝します。