No.2804
何でしょうね。
こういうタイプの映画に関しては、何を言っていいかわからない・・・。
前から見たいリストに入れてあったものの、見るタイミングを逃していたんですが、
三浦春馬さんの件があって、私も一ファンとして一時かなり落ち込んでいたので、今はまだ見る時期じゃないかな、と思っていました。
でも、だからこそ、あえて、こういう時期に見てみようと。
================
たくさん考えるべき点があり、監督自身の苦悩も見えてきて、大変な力作です。
ドキュメントパートとフィクションパートが交互に展開され、そのうち、ドキュメントパートのほうにフィクションが混ざっているように見えてきたり、
フィクションパートの中に、さらにフィクションが入ってきたりと(ラストの屋上のパートね)と、
作り方もいい意味でややこしくて私はこれはこれでいいと思いました。
それにしても、残されたご両親の言葉の一つ一つが、あまりにも重い・・・。
私も知り合いを自殺で失くしています。
彼のLINEはいまだに削除することができません。
また、学生時代、一番かわいがってくれた大好きだった先輩を、病気で突然失ってもいます。あまりにも突然に。
肉親も何人も見送ってきました。
そういう、「残された者」としての自分を自覚しながらこの映画を見ると、
「なぜ、親や周りの人間は、気づいてあげられなかったんだ」「自殺を止められなかったんだ」
なんて、言えなくなりますよ。
そんなことを言う権利は、誰にもない。
ご両親は、あからさまには仰られていなかったけれど、
恐らく息子さんの死後、周りから、このようにとやかく言われたんだろうなぁ、と思うと、
悲しみと同時に、怒りが湧いてくる。
この映画の凄い所は、亡くなった増田さんの「嫌な部分」までちゃんと捉えている。
見始めは、ああ、音楽の才能がありそうなのに、社会に適合できなかったんだなぁ、と思いながら見てましたが、
蔵人さんへのきつい当たり方や、太田監督への"脅迫に近い行動"を見ているうちに(これが、フィクションではないと仮定して)、
おやおや、というか、もやもやっとしてきます。
しかも、ある意味じゃ増田さんの被害者の一人だったはずの蔵人さんが、いつも明るくてニコニコしているだけに、
その対比がとても切ない。
ほんわかした見た目とは違い、とてもクレバーだと思われる蔵人さん。
モラトリアムの本質に先に気づいたのも彼でした。
増田さんは、正直、気づくのが遅かった・・。