アキヒロ

ねこぢる草のアキヒロのレビュー・感想・評価

ねこぢる草(2000年製作の映画)
4.6
ものすごく好みだった。
たった30分程度しかないのに、ありし日の日本の夏の情景から、生死の狭間から人類の創世まで、大冒険をした気分になる。
元々ねこぢる作品は「麻薬的内容」と聞いていたが、まさに麻薬中毒者が見る幻覚のような内容で、でもそれが全く不快ではなく(ある時にゾッとするほど美しい)中毒的な快感になる。

オチから見ると、「夢オチ」というより何か哲学的な内容だったのではないかと思わされる。
途中、ねこぢる少年が見ていた「くじら」は「くじら大サーカス」のテントのオブジェにそっくりだし、終わり頃には「金のぞう」と書かれたポスターが張り出してあるのが映る。

つまり、中盤の非現実的シーンは、ねこぢる少年が現実で見た風景を素材に作り出した妄想なんじゃないか、と解釈できる。
でも、それならねこぢる少年自体は「実体」であるはず(我思うゆえに我あり)なのに、最後はまるでテレビの電源を落とすようにねこぢる少年まで消えてしまう。
「実存」とは何かを問いかける内容にもなっている。
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