イチロヲ

犯された白衣のイチロヲのレビュー・感想・評価

犯された白衣(1967年製作の映画)
4.0
看護女子寮に連れ込まれた青年(唐十郎)が、動機不明瞭のままで寮の女性たちを凌辱、殺害していく。無差別テロをおこなう革命家側の心理を示唆的に描いている、ピンク映画。なお、本編では白衣のことを「びゃくい」と発音している。

超低予算映画のため、寮内でのワン・シチュエーションで物語が進行する。主人公に脅される女性たちは、無差別テロに巻き込まれた一般庶民の比喩であり、同時に性の暴力を掻き立ててしまう「女」でもあるという、因果な役割を担っている。

本作の主人公は、女性のもつ聖性と娼婦性に惑わされており、その矛先が絶対的聖性の持ち主である看護婦へと向けられる。男女間の問答では「あなたは自分の血を見たことがあるの?」という台詞が秀逸。女性ならではの説得力がある。

70年安保へと流れ込んでいく時流を背景にしながら、胎内回帰という性の根源部分を絡ませているドラマ。根深い闇と摂理が内包されており、その時代の刺々しさを追体験することができる。
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