藤原直樹

ノーラヴ・ノーライフの藤原直樹のレビュー・感想・評価

ノーラヴ・ノーライフ(2006年製作の映画)
2.1
いやはや、もう春が来るのに今頃クリスマス映画を観てしまった...
どうも全体的に安っぽい作りで、シーンの切り替えもフェードアウトしてからの切り替えが速すぎてどうにも薄っぺらく感じる。
というより余韻に浸れないのだ。

主人公ロブが15年勤続した会社をクビになって、しかもそれを家族に言い出せずにこれからは本を書くなんて言い出してしまうから奥さんもビックリ。
ロブは奥さんと奥さんの父親についての物語を綴り、本はベストセラー入りする。
そこから一躍有名人になったロブが自惚れ始めるんだけど、あまりにも急に葛藤もなく彼の性格が豹変してしまうもんだからこの辺りからあれあれ?と。
というかそもそも彼が本を書く過程もほとんど描かれないもんだから、ポンっと本を書いたらポンっと売れちゃって早送りしたっけ?ってくらいに足早にストーリーは進んでいく。
彼の父親との関係性も重要な要素なんだが、軽く触れる程度で掘り下げようとはせず。
主役のロブ・ロウはよく見ると少しブラッド・ピットに似てるナイスガイなんだが、正直言って彼の演技ではあまり心を揺さぶられなかった。
と批判ばかりになってしまいそうだが、見所も多少はある。
例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でお馴染みのクリストファー・ロイド。
彼はこの物語のキーとなる人物マイケルを演じているが、ブラックのジャケットを着こなす彼は天使というよりは死神に見えるけど存在感は抜群である。
彼がこの物語にほんの少しファンタジックな要素を加味したからこそ最後まで観れた。
ちょっとしたオチがラストに用意されているし、総じて子供向け(中学生辺り)のわかりやすい描写も多い。

お金や成功より大切なことがある。
家族を大切に。
愛を大切に。
目の前の成功に自惚れて傲慢になり、大切なものを見失った主人公が自分の死期が近いと知った時、その本当に大切なものに気付く。
織田裕二の「お金がない」と草なぎ剛の「恋に落ちたら」ってドラマがあるんだが、これらのドラマに少し似ている。
でもやっぱり脚本の酷さには目を瞑れない。


(ロブの奥さん役の女優さんがアン・ハサウェイにちょっと似ていた)
藤原直樹

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