『オカルト』『貞子VS伽耶子』の白石晃士監督が手がけた『コワすぎ！』シリーズ第一弾。
衝撃映像系作品の中では個人的最高傑作。
都市伝説や怪奇現象を調査する映像制作会社のディレクター・工藤とアシスタントの市川が、依頼者が撮影した口裂け女と思わしき人物を捕獲しようとするモキュメンタリー式POV作品。
心霊現象を暴力で解決しようとするキャラクターの濃さと臨場感が良い。
この『コワすぎ』シリーズはその破茶滅茶っぷりと一定のリアルさがウリであるが、シリーズが続くにつれてやらせが強くなってしまった。
（『コワすぎ！劇場版』や『最終章』には、心霊パニックものに運命に逆らう壮大な物語が加えられていて、そこがあの作品の良さでもあるが）
しかしこの第一作は口裂け女の正体に詳しく迫るドキュメンタリーとしての出来がとても良く、安定したリアリティがある。
『最終章』でのオンライン配信も最序盤はリアルな雰囲気がでてたけど、それはあくまでも『カメラを止めるな！』の後半部分なメタ的リアルさで、架空での出来事としての面が強かった。
口裂け女を問答無用で轢いた時のあのリアルな質感。
これに勝るものはない。
あと、こういったドキュメンタリー形式の作品は裏の音が好き。
この作品だと、ホームレスに暴行という名の取材を強行する場面で聞こえるカラスの鳴き声や、祈祷師が祈っている最中で聞こえるイヌの遠吠え。
そして口裂け女が襲来してきた時の裏で聞こえる車の通行音。
日常的なリアリティが増してとても効果的。
「口裂け女を捕獲します」
